遠出ができない今年はすっかり諦めていた銀世界。2月も半ばになって、まさかのチャンスに恵まれました。
今冬おそらく最初で最後の雪景色、『花の御寺』ならではの冬を楽しみに奈良県・長谷寺へ行ってきました。
長谷寺ってどんなところ?
長谷寺(はせでら)は正式名称を「豊山神楽院長谷寺」といい、686年に創建された歴史ある山寺です。
古代日本の都が置かれた飛鳥からもほど近く、鎮座するエリアは『隠国(こもりく)の泊瀬(はつせ)』と万葉集にも詠まれています。
また、関西では『花の御寺』とも知られており、桜、あじさいなど四季を通じて美しい風景を見られるお寺です。
2月半ばに まさかの積雪
今回の雪はまさかの、2月半ば。
今冬は何度か雪が舞いましたが屋根が白くなることもなく、近所での外出に限られる現状では雪の写真は厳しいなぁと思っていました。
しかし、この日、朝起きると驚くほど大粒の雪。向かいの家の屋根はすでに白くなっています。
「市街地でもこれほどなら!」と各地のライブカメラを見て回ると宇陀市でしっかりとした降雪があるのを確認できました。ここでテンションが一気に上り、急遽、長谷寺へ行くことにしました。
長谷寺へは近鉄で移動します。
移動を始めた頃には市街地でもうっすらと雪が積もりだしていましたが、大和朝倉駅を超え山に入った途端、ガラッと風景が変わりました。長谷寺駅までのわずか数分、ひと駅分の間に車窓の外は真っ白に。
おかげで駅から長谷寺までもすっかり真冬の風景です。
静かに降る雪が「これぞ冬の日本」という趣ある光景を作り出してくれていました。
境内は一面の銀世界に
駅から20分ほど歩くと、長谷寺に到着です。
重要文化財である仁王門を雪化粧をして迎えてくれます。この日はコロナ禍に加え突然の大雪ということもあり、拝観者はまばら。本堂まで連なる登廊(のぼりろう)でも容易に人がいない写真を撮れました。
この登廊、上中下の3階層にわかれ、実は399段もあります。マスクをしながら階段を上がり続けるのは地味にしんどい……。
途中、写真撮影という名のプチ休憩を挟みながら上がって、ようやく本堂です。
小初瀬山中腹にある本堂からは、一夜にして銀世界となった長谷寺の境内と初瀬の町を一望することができました。
長谷寺の本堂は平成16年に国宝に指定されました。
西国三十三所巡礼の八番でもあり、中には観音菩薩が安置されています。(ご本尊は撮影禁止)
そして、ここは長谷寺で最も有名な風景、美しいリフレクションが見られる場所として知られています。近鉄沿線にお住まいの方ならばポスターでよく見る構図ではないでしょうか。
でも、個人的にはこちらのが好み。
雪で五重塔の赤が引き立つので尚更かもしれません。
本堂を過ぎると、あとは基本的には下り道。行きよりもなだらかな散策路が続きます。
標高差のあるため少しずつ視線の高さが変わる散策路では、木々の隙間から見えるお堂や五色の布などいろいろな発見があり、足を止めることもついつい増える楽しい時間でした。
冬でも花の絶えない、花の御寺
さて、長谷寺で忘れてならないのが季節の花。
今回訪れた2月は冬牡丹の季節です。
紅、淡紅などの大輪の花は、白黒の雪景色へ色を添えてくれていました。
牡丹以外にも境内では椿が咲いていました。
この他、今年は普段よりも梅の開花が早く、春を告げる淡い色の花々が雪の下ですっかりと凍えていました。
これらも2月の雪ならではの風景です。
アクセス
近鉄長谷寺駅から徒歩20分。長谷寺の周辺に有料駐車場も複数あり。
駅から長谷寺までの道中、境内ともに坂道、階段が多数あるので雪の日は足元にご注意を!