初夏の風物詩である、ホタル。
宵闇をふわりふわりと飛ぶ姿は幻想的で、涼やかな気持ちになりますよね。
そんなホタルを見に行く先としてパッと思いつくのは、清流が流れる田舎の風景ではないでしょうか。しかし実は京都市内にもいくつかの鑑賞スポットがあるんです。しかも、繁華街を少し外れただけで!
今回はその中から、2020年初夏に筆者が実際に訪れて見た風景を写真とともにご紹介します。
ホタルがよく飛ぶ条件
スポットの紹介の前に、まずはホタルはいつ飛び始めて、どんなときによく飛ぶのかを見てみましょう。
京都市で見られるゲンジボタルの幼虫は4月に陸に上がります。そして蛹を経て、例年5月下旬から飛び始めます。京都市周辺での見頃はおおよそ5月下旬から6月上旬にかけて。
しかし、ホタルは成虫になってから約1週間ほどの命。見頃はわずかな期間です。
2020年は5月中旬には既に飛び始めており、この記事を書いている5月末現在が、ちょうど見頃に差し掛かりつつあると予想しています。
では、次に成虫になったホタルがよく飛ぶ条件を見てみましょう。
【 よく飛ぶ条件 】
① 1日に3回よく飛ぶ時間がある
20時~21時,23時,1時
② 明かりが少ない(月明かりが弱い、街灯の光が少ない)
③ 気温・湿度が高い、むっとした夜(目安 気温20度以上)
土の中で蛹になったホタルは、その殻を破るのに水分を必要とするそうです。
そのため、湿度が高い日の夜や、前日に雨が降った日に飛びやすいのだそうです。
では、いよいよホタルの鑑賞スポットをご紹介します。
※ これより先の写真は、特段の説明がない場合はすべて比較明合成を行っています。実際の現地の風景そのままとではないことをご承知の上でご覧ください。
鑑賞スポット① みそそぎ川
みそそぎ川は鴨川の分流で、鴨川河川敷のすぐ西側を流れる小さな川です。京都市在住の方でなくても、鴨川の納涼床の真下を流れる川といえばイメージしやすいでしょうか。
この川は小さいながらも多くのホタルが住む川です。特に丸太町通~二条通の間に多く飛んでいます。このポイントは京都で最も賑わう繁華街・河原町や観光でも有名な祇園から約1kmという近さ。そのため例年は先斗町や河原町で呑んだあとにふらりと立ち寄る人がいるようなスポットでもあります。
また、ここは京都市内では比較的ホタルの数が多いスポットのひとつ。私が行ったときは少なくとも20匹は同時に飛んでいました。下の写真は20秒の長時間露光・1枚撮りで撮ったものです。ときには、触れられるほどすぐ近くに飛んでくることも。
次の写真のあたりは特にホタルが多く、ごく狭いエリアではありますが、まるでイルミネーションのような風景を楽しめます。
鑑賞スポット② 白川疎水 一本橋
続いてご紹介するのは白川疎水の一本橋です。
知恩院古門のすぐ近くにあるこの橋は「行者橋」とも呼ばれ、京都を代表する景観のひとつです。サスペンスをはじめとする多くのドラマのロケ地にもなってきました。
そんな一本橋で見るホタルはこんな風景です。
ここはみそそぎ川に比べると、ホタルの数は少ない場所。
実際、白川疎水沿いに街灯があるため暗い場所ではなく、ホタルがよく飛ぶ条件に欠く場所ではあります。
しかし、それを上回るのがこの一本橋との風景です。
川のせせらぎや揺れる柳の葉擦れの音を聞きながら、儚げに光るホタルを見ることができるのはとても贅沢なことだと思います。
また、街灯があることで足元の安全を確保しやすいのは、メリットでもあります。よくあるホタル観賞スポットのように「暗くて足元が見えない」という事態になりません。そのため、子ども連れでもホタルを見やすいでしょう。
ただし、周辺は閑静な住宅街。ホタル観賞の際は、騒音トラブルとならないようご注意を。
まとめ
写真とともに紹介した、京都市内のホタル観賞スポット。いかがだったでしょうか。
ホタル観賞スポットとしてよく取り上げられる上賀茂神社や有栖川以外のを紹介できたのではと個人的には考えています。
さらに今回紹介した2ヶ所へ行く道すがら、三条大橋付近や祇園新橋付近でもホタルが飛んでいるのを確認できました。このあたりは数匹がちらほら飛んでいる、という程度ではありますが。
それでも、これだけいろんなところでホタルが舞うということは自然が残っている証。
あらためて京都に住んでいてよかったなぁと感じる初夏の風景でした。
おまけ:比較明合成ってなに?
ホタルの写真を検索するとよく出てくる「比較明合成」という言葉。これって一体何なのでしょう?
「比較明合成」とは、今回ご紹介したホタルの撮影以外にも花火や星の撮影でも使われる、有名な合成手法のひとつ。
画像の明るい部分だけを抽出して、重ねることができます。この手法を使うことにより、ホタルがたくさん飛んでいるように見せたり、星の軌跡を繋げたりすることができるようになります。
「Photoshop」を始め画像編集アプリの他、イラスト作成アプリにも導入されているので、そのあたりの趣味を持つ人にとっては身近な存在です。更に詳しく知りたい人は、ぜひご自身でも検索してみてくださいね!