今回泊まったのは「NIPPONIA播磨福崎 蔵書の館」
私たちが今回宿泊したのは、2020年11月に開業したばかりの「NIPPONIA播磨福崎 蔵書の館」というホテル。兵庫県の重要有形文化財に指定されている「大庄屋 三木家住宅」の一角をリノベーションし、保存・活用されているお宿です。県指定文化財のホテル活用は全国初ということで、現在注目を集める宿のひとつでもあります。
また、三木家住宅は民俗学者・柳田国男(※)が幼少期預けられていた場所でもあるそうで、彼は当時この場所で本を読みふけっていたのだとか。その歴史を踏まえ、ホテルには民俗学・日本文化を中心とした数多くの本が並び、宿泊客はその本を自由に楽しむことができるようになっています。
まさに歴史好き、本好きにはたまらないお宿なんです。
「三木家住宅」そのものはホテルがオープンした現在も一般公開されています。建物には明治4年(西暦1871年)に起こった播但一揆によるとされる刀傷も残るなど、築300年近い建物の歴史を垣間見ることができます。
※ 柳田国男
日本を代表する民俗学者。天狗、河童、座敷わらしなどが登場する『遠野物語』を佐々木喜善とともに記した。
参考:
兵庫県指定重要有形文化財 大庄屋三木家住宅
「米蔵」のお部屋で本棚を見上げる
全7種類ある部屋から今回選んだのは「米蔵」のお部屋。
その名の通り、三木家住宅の蔵をリノベーションしたお部屋です。
蔵に入ってすぐ香るヒノキの香り、見上げるほどの本棚、高い位置にあるひとつだけある窓からのやわらかな自然光。さらには母屋から離れた場所にあることも相まって、まるでおとなの隠れ家に来たような気分。
最初こそ、これまで泊まったことのない室内の雰囲気に「おぉっ」と驚きとドキドキがあったのですが、次第に馴染むと、このまま住み着いてしまいたいくらいリラックスした時間を過ごせました。
このお部屋も本は民俗学、日本文化の本が多め。
着物や和の建築美、伊能図についてなど私の趣味にあう本がとても多く、15時チェックイン・翌日10時チェックアウトの間に読んだ数はなんと15冊! 実際は読んだのは2,3冊で、あとは全体を流し見していたという方が正確なんですが。しかし、それをしないと間に合わないくらい好みの本が多くて、嬉しい悲鳴でした。
食事は福崎町の食材をメインにした創作料理
NIPPONIA播磨福崎では、食材も福崎町に根付いたものにこだわっておられました。
夕食の創作フレンチコースには、福崎町産のハーブやラディシュなどが取り入れられていました。
もちろんメインも美味しく、やわらかなフィレ肉や
この日の鯛茶漬けにはシェフが市場で惹かれたという蟹まで入って、普段より豪華版に。メニューの説明しながらシェフご本人も笑っておられました。
朝食は野菜を中心とした和食。体に優しいメニューです。
特に目を引いたのは、釜で炊かれたもち麦。このもち麦も福崎町の特産なんだそうです。
カリッとしたおこげも嬉しく、お箸がどんどん進みました。しかし、そこはやはりもっちもちのもち麦。私たちはふたりとも健啖家だと思ってるんですが、それでも途中からどうやって食べきろうかと考えるほど。野菜が中心とは思えないくらいの満腹感でした。
妖怪ブックカフェの蔵書も読める
宿泊のメインとなる三木家住宅の隣には、「妖怪ブックカフェ」というカフェもあります。
こちらは大正12年築造の旧辻川郵便局舎。1階をカフェ、2階を宿泊2部屋へとリノベーションはされていますが、電話室や郵便局のカウンターが残るなどノスタルジックな雰囲気を残した建物です。
このカフェもまた、宿泊施設と同じように妖怪や日本文化に関係する本が並んでおり、自由に本を楽しむことができます
カフェの一部には、個室席も。
おひとり様や、本をしっかり楽しみたい方に嬉しい席ですね。
ただし、2020年秋現在この施設に立ち入れるのはホテルの宿泊客のみ。
新型コロナの影響で、一般向けオープンは現在延期中なんです。2021年ゴールデンウィークの開業を目指されているそう。居心地のいい空間なだけに、一般向け公開がとても楽しみです。
宿情報・アクセス
NIPPONIA播磨福崎 蔵書の館 | 重要有形文化財
〒679-2204 兵庫県神崎郡福崎町西田原1106
播但道・福崎北インターチェンジを降りて、約1km
カーナビへの入力は福崎町の「三木家住宅」がわかりやすいと思います。
宿の目の前の道は東向きへの一歩通行なので、ご注意を。